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ゴンザレスは実はゴン子やった

昨日、当院のミシッピーアカミミガメの手術をしました。名前はゴンザレス8年前、役場から安楽死をしてほしいといわれ預かったものです。

当時私もカメの開腹手術をやることに興味があり、その練習としてと思ったのでした。今でこそそういうのは行われなくなり、違う物で代用することが当たり前になってますが昔はそうではなかったのです。その頃はなくなったカメを冷凍してあるものを頂き、それで練習していたのです。でもやっぱり生きたカメで練習して患者さんのをしなくてはならないと考えていたので。

でもねーいろいろ忙しかったのでついつい先延ばしになり長く飼ってると愛着がわいてきてできなくなっていたのです。かなり大きいサイズのカメです。外の生活が長かったのでしょう、かなり甲羅が割れていて貫禄がありました。肛門の位置とか風貌から男の子かなと想像し、ゴンザレスと名づけられました。
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実際この8年間卵を産むようなこともなく過ごしていたので疑いもしませんでした。去年夏の時期に食欲不振になりおかしいなあと思いつつ、知らない間に治り。変温動物である爬虫類は温度の低い冬場は食欲が落ちることはよくあることです。ただ夏場に食欲不振になることは希です。

今年も8月に食欲が全くなくなり、だんだん体がむくんできました。血液検査、レントゲンをとっても特に異常に感じられることもなく暖めたりビタミンをあげたり抗生剤を与えたりしましたが全く効果がありません。

そんなとき先月博多でエキゾチックの繁殖性疾患のセミナーがあり、そこでカメの講義もあったのでした。なかなかカメの繁殖性疾患の情報を受けることも少なく、エコー検査の写真をふんだんに見せていただきました。丁度うちの子がそれらしい感じでした。

そのセミナーでエコーでオスメスがわかるんだって初めて知ることになります。カメの繁殖性疾患で卵巣鬱滞というのがあり、うちのコンザレスと似てるなあと思ったのでした。慢性の食欲不振、後駆麻痺などです。

ゴンザレスはこの数年後駆が弱くなってきて年齢的なものかなあと思ってました。いやいやエコーで確認しなくてはと思い、その検査がこちら。

ゴンザレスは実はゴン子やった_d0178999_14444387.jpg
上の黒いところが膀胱で赤い丸く囲んでいるところが卵巣と思われました。目を疑いました。当院で飼われている錦曲げ首亀のエコーを確認。肛門の位置からオスと思われ、実際その子にはこのような所見はなかったのでした。

それでも始めは躊躇しました。今まで卵産んでないし、でも卵産むような砂地の環境を作ったところもないしなーと思ったり。

でもいよいよ弱ってきました。これは試験開腹しなくてはと思い、食べてないので前日から甲羅に針を刺して随内輸液(ほ乳類でいう静脈点滴みたいなもの)をして望みました。甲羅をパカってドリルであけてお腹を確認、たくさんの卵胞を確認しました。やっぱりあのエコーは卵胞だった。胸をなで下ろした瞬間、いままで膀胱結石や卵づまりとわかりやすいものは開腹しましたがなかなかはっきりしないもので開腹したのは初めてでした。しっかり卵巣卵管をとることが出来ました。

これもいままで他のカメの開腹を手がけてきたのもすごく役に立ちました。いろいろこのゴンザレスには勉強させられました。未だ食欲不振のままこれからが勝負です。ゴン子よ、早くよくなってくれーー。


by imag0550 | 2018-11-17 15:03 | 病院関係 | Comments(0)

らいおん動物病院らいおん先生

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