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個人病院獣医師の苦悩

今日は「しまなみインタープリター養成講座」受講のため休診を頂いておりました。インタープリターって自然案内人とか解説者とかって訳されますが、そういう講義を受け、異業種交流もあり、ある種リフレッシュさせて貰ってます。伝える技術を学ぶ意味でいろんな「気づき」が得られます。
この2週間、富士山登山、日本野生動物医学会の参加、四国地区獣医師大会発表なんかで臨時休診日をいただき大変ご迷惑をお掛けしていますが、本日の養成講座の受講は少し迷いました。土曜日の朝、ダックスの子宮蓄膿症の患者さんがやってきたのです。ずっと当院で診てきた患者さんでしたし、確かに2年前にも同様のことがあってそのときはエコーにて蓄膿症はなく、抗生剤で治癒してました。こういう子はいずれ蓄膿症をやっちゃうよってお話しはさせてはもらっていたと思います。当院でも5歳ぐらいまでは繁殖の予定がないワンちゃんは避妊手術をすすめるんですが、5歳を超えると麻酔のリスクもあるし乳腺腫瘍の予防的効果も薄れてくるしあまり勧めなくなります。今回はそれが裏目に出ました。手術をきめるのは最終的には飼い主さんにはなるのですが・・・
今回の蓄膿症は膿が陰部からは排泄がされておらずお腹でパンパンになっていました。今日明日にでも手術しなきゃ子宮破裂とういう最悪の事態も考えられました。膿が陰部から排泄されているようなタイプだとまた少し違ってきて状態がよければ月曜オペもありかなーとか(基本は速オペです)。当院でも本来ならすぐに預かり夜までしっかり点滴をして夜手術パターンなのですが、養成講座は前泊して受けようと宿の予約もしてましたし、まあそれはギリギリですがキャンセルして夜手術もアリだろうとも考えましたが、問題は次の日からの治療なんですよね。手術の経過がよければ抗生剤をうってあとはスタッフ任せもありなんですがもし体調が悪かった場合のリスクを考えた場合養成講座はキャンセルしないといけないだろうと考え、非常に心苦しかったのですが他院にての手術をお願いすることにしました。こんな時勤務医がいたらなあととも思うのですが、それは経営的にも私の能力的にも難しい。獣医師が一人しかいない個人病院は連休で休んだりする前は手術を控えたり、やばい病気を抱え込まない努力をします。預かりぐらいならスタッフがいるので受け入れることはあるのですが。そのおかげで富士山では7合目で病院からの連絡が入り対応しなきゃいけなくなったりもしましたが・・病気になった患者さんが昔からのお付き合いの患者さんだと非常につらい。これはどこかでドライに線引きしないといけないところなんですがね。個人獣医師の意外と知られていない苦悩でした。こういう意味では人の病院の方がある意味ドライですかね。動物病院では一度病院をきめるとそこだけに行く傾向が強いですからね。でも将来的にはもっと人と同じように診察科目も細分化され、一人の患者さんが2つぐらいは病院を掛け持ち?するような時代が来るような気がします。病院がより選択されるということでしょうね。どこの業界もそうですが常に勉強していかないと振るいにかけられます。私も体調管理(基本飲酒)に気をつけながら日々精進していきます。
あと、その飼い主さんに本日連絡して他院さんにて土曜日に夜手術をしてもらって元気にしているとのことだったのでほっとしました。最後にちくりと「ホントは先生にしてもらいたかったんやけど」とありがたいお言葉でもあり、きついお言葉をいただきました(飼い主さんはそんな意図はなく正直な感想でしょうね、信頼関係の出来ている病院でやってもらうほうが大事な宝物をおまかせするのですから安心でしょう)。ごめんね、アンちゃんでも元気になってホントによかったね。
by imag0550 | 2010-09-12 22:57 | Comments(0)

らいおん動物病院らいおん先生

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